江國香織の同名小説を映画化したラブストーリー「スイートリトルライズ」。中谷美紀と大森南朋を主演に大人の愛を描いた矢崎仁司監督(「ストロベリーショートケイクス」)に、本作への想いを語ってもらった。  「夫婦の話をいつかやりたいと思っていたので、ついに来たかっていう嬉しさがありましたね」と矢崎監督。「原作は、さらりと読むと、セレブな夫婦がダブル不倫して、雨降って地固まるみたいに読めてしまう。でも何度も読むと、底に人間の淋しさとか孤独とかがうごめいているんです。そこをきちっとやらないと、この夫婦の話は成立しないなと」と“孤独や死”がキーワードだったと語る。  そして説明過多な演出は避けたとも。「今の映画は、手取り足取り説明するものが多いなあという印象がありますね。観客はもっと鋭い感性を持っていると思うんです。こう感じて欲しいとか、こう理解して欲しいというのは、いらないんじゃないかなと思って」。  キャスティングに関しては常に、誰がいいとイメージを固めないようにしているそうだが、中谷に会ったときは品や美に圧倒されたという。「この人の持っているこの美しさを映し取らないと駄目だなということは心に刻みましたね」と振り返る。また大森は「まとっている空気感」に惹かれたそうだ。  ちなみにヒロインの瑠璃子がテディベア作家であることから、矢崎監督もプロデューサー(宮崎大)、脚本家(狗飼恭子)と一緒に、テディベア作家の市川和子さんのもとでテディベア作りを体験したそう。本来、テディベアはお守りなのだという話を聞くなどして、当初、想像しづらかったテディベア作家という職業への理解を深めたとのこと。  そして「いつもそうなんですけど、僕の映画は、忘れているものを思い出すタイプの作品であればいいなと思って作ってます」と観る人の記憶のカケラを刺激したいと結んだ。  「スイートリトルライズ」は3月13日よりシネマライズほか全国ロードショー。 (取材・写真:望月ふみ) ■ハリウッドチャンネル 最新ニュース一覧 ■関連記事 男子禁制!! 人気脚本家の狗飼恭子&大森美香が「大人の恋愛」を語りつくす 中尾彬・池波志乃が夫婦円満の秘訣を告白「会話は大事、沈黙はNG」 中谷美紀も絶賛、スガシカオが「スイートリトルライズ」主題歌を歌う! ■関連リンク 「スイートリトルライズ」作品情報 「スイートリトルライズ」特集



 アンジェリーナ・ジョリーが、「レスラー」(2008)のダーレン・アロノフスキー監督の作品に出演する交渉を進めている。  アンジェリーナとアロノフスキーがコンビを組むことになるかもしれないプロジェクトは、2008年に出版されたロン・ラッシュの小説「Serena: A Novel」の映画化。  【関連写真】アンジェリーナ最新作「ソルト」フォトギャラリー  「Serena」の舞台は1929年のノースカロライナ。新婚のジョージ・ペンバートンと妻のセリーナは、ボストンからノースカロライナの山の中にやってくる。2人は、材木業で財を成す野心を抱き、邪魔になる者たちは次々と消していく。しかし、自分に子供が出来ないことが判ると同時に、自分と結婚する前にジョージが愛人に息子を産ませていたことを知ったセリーナは、その子供を殺そうとするが…。  脚本を担当するのは、オリバー・ストーン監督の「アレキサンダー」(2004)を手がけたクリストファー・カイル。「アレキサンダー」でも、権力に執心し息子を王にする野望を燃やすオリンピアスを熱演していたアンジェリーナゆえ、マクベス夫人を思わせるセリーナもピッタリのはまり役になりそうだ。  「Serena」のプロジェクトは、製作資金の捻出がなかなか解決できずに、いろいろなプロデューサーやプロダクション会社のところを周っていたそうだが、ナタリー・ポートマン主演の「Black Swan」の撮影を終えて次のプロジェクトを探していたアロノフスキーの目に留まったとのこと。  「Serena」は、概して製作費が高くつくと言われている時代物にあたるが、20世紀初頭を舞台にしたポール・トーマス・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)が推定製作費2500万ドルで完成したことから、ほぼそれぐらいの費用で製作できるのではないかとみられている。  最近、スターたちの集客力が落ちてきているハリウッドだが、その中でアンジェリーナは、出演の有無で作品の運命が決まる例外的な女優だと言われている。例えば、トム・クルーズが降板して製作が滞ってしまった「ソルト」(7月31日公開)は、アンジェリーナの主演を実現させるために主人公を男性から女性にするべく脚本が書き直された。逆に「ウォンテッド」(2008)の続編については、前作で主演したアンジェリーナが出演を断ったが、他の女優を探さずに、続編の製作自体がキャンセルされるのではないかと噂されている。 (文:荻原順子) ■ハリウッドチャンネル 最新トレンドガイド一覧 ■関連記事 ミステリー小説「検屍官」シリーズが映画化、主演はアンジーが最有力!? ブランジェリーナ、ハイチの子供を養子に!? ブラピ&アンジー、突然の破局報道の裏側 ■関連リンク 第82回アカデミー賞特集/ハリウッドチャンネル



1月発売の2ndアルバム『Amazing』が好調なMAY’Sが、2月23日(火)東京・ラフォーレミュージアム六本木で行なわれたイベントに出演した。 この日行なわれたのは、徳澤直子、舞川あいく、安座間美優ら、人気ファッション雑誌『CanCam』の専属モデルが全員集結したファッション・ショー『CanCam SUPER KAWAII COLLECTION 2010』。全国から集まったCanCamファンを前に、有名モデルが華やかなステージを繰り広げ、最後にMAY’Sがサプライズ・ゲストとして登場した。 MAY’Sはさらに、5月公開の映画『音楽人』の主題歌「星の数だけ抱きしめて」を初披露。同曲は映画の公開に合わせ、5月に配信されることも決定しており、劇中では片桐舞子が主人公・蒼の母親役を演じているという。この作品にはまた、トラックメーカーの河井純一やモデルの徳澤直子もキャスティングされているとか。 2月28日(日)から、全国7ヶ所を廻るワンマン・ライヴ・ツアーもスタートするMAY’S。日程など詳細はオフィシャル・サイトまで。 【関連リンク】 MAY’S オフィシャル・サイト MAY’Sオフィシャル・ブログ「舞こりん」 MAY'S mixi公認アカウント 映画『音楽人』オフィシャル・サイト 【関連記事】 MAY’S、スペシャル・ライヴを開催 MAY’Sが約1年ぶりとなる2ndアルバムをリリース タイナカ サチ、ワンマン・ライヴを開催



 メルセデス・ベンツ日本は、メルセデス・ベンツとマクラーレンの共同開発によるスーパースポーツカー「メルセデス・ベンツ SLR マクラーレン」のシリーズ最後となるスペシャルモデル「メルセデス・ベンツ SLR スターリングモス」を、2日に発売した。  同モデルは世界限定75台で、日本国内限定2台、価格はメルセデス・ベンツで過去最高となる1億1000万円(税込)。  日本で販売する2台のうち、1台は往年の300SLRを彷彿とさせる「クリスタルラウライトシルバー」、もう1台は世界で唯一となる「クリスタルカシタライトブラック」の外装色を採用している。 ■YUCASEE(ゆかしメディア)で人気の記事 1.中卒で100億円の資産を築いた組立工(前編)2.2chサーバダウン、原因はキム・ヨナ選手?3.中卒で100億円の資産を築いた組立工(後編)4.ロブション氏のモナコの和食店、1つ星獲得5.キム・ヨナ、世界最高得点で保険金100万ドル獲得



photo by muzina_shanghai いや~。先日は、テレビをつけると津波警報が地図で出ていて、なんかざわざわしましたね。とりあえず、大きな津波がなくてよかったです。 今年になって、ハイチに続きチリ、と大きな地震がもう2回も起こっています。 実は、昨年末から「姿を見せると大地震がくる」という言い伝えのある謎の深海生物が、日本海沿岸で今までにないペースで、見つかっているのをご存知ですか? その謎の深海魚の名前は「リュウグウノツカイ」。 「蛇のように細長い胴、頭から伸びる赤いひれ。その神秘的な姿を人前に現すことはほとんどない」そうです。   国立科学博物館によると、リュウグウノツカイは硬骨魚類に分類され、外洋の深さ約200メートルから1000メートルに棲息生息。体長は5メートル前後が多いが、10メートル以上の記録も とのこと。言い伝えはいろいろあるそうですが、生態はほとんどわかっていない謎の魚なんだそう。しかし名前......。昔の人ってセンスありますよね。   これまではめったに姿をあらわさなかったそうですが、昨年末から、 富山県では昨年12月、黒部市の海岸に1匹が漂着。今年に入ってからも高岡市と入善町の沖合で定置網に1匹ずつ掛かった。石川県では、能登半島の千里浜海岸などに1~2月に少なくとも4匹が漂着。京都府宮津市では年末年始の2カ月間で定置網に10匹が掛かったほか、岩手、兵庫、島根、山口、長崎の各県でも見つかった とか。こんなことは初めてで、漁業関係者も学者の方たちも、首をかしげているそう。 地震の予兆現象を調べているNPO法人「大気イオン地震予測研究会」の弘原海清理事長(環境地震学)は「一般的に海底近くの深海魚は、海面付近の魚より活断層の動きに敏感 と話しています。 たぶん、深海で何かがおこっているんでしょうね。リュウグウノツカイが姿を現すのは大地震の前触れ、という言い伝えがあるのは、ダテではないのかも。 だって実際、リュウグウのツカイの記事が27日に出たら、その日の午後にチリの大地震ですから、やっぱり無関係とは思えません。その後、津波がおこったり、海の中で大変化がおこっていたでしょうし。また年末からの動きと思うと、ハイチ大地震もありましたしね。 日本にも大地震がくるってことなんでしょうか、すごく怖いです。 あと、個人的な希望ですが、リュウグウノツカイが網にかかったら、逃がしてあげることはできないでしょうか。珍しい魚なわけだし、なんたって『竜宮の使い』なわけだから、深海から持って来てくれたメッセージだけを受け止めたら海に帰してあげてほしい! 金沢市のNPO法人職員内藤善太さん(34)らは、試食に挑戦した。石川県羽咋市の千里浜海岸で見つけた体長約4メートルのものをソテーにして食べた。内藤さんは「脂の塊みたいな味でおいしくなかった」と話している なんていう記事もありますが......。自然のメッセージは、大事にしたいものです。 [スポニチ、YOMIURI ONLINE] (田中水菜)



燃え上がれ、燃え上がれ、燃え上がれ~、iPod! Pentucket 区立高校の科学の授業中、机の上でiPodが爆発しちゃったんですよ。でも大丈夫、誰も怪我しなかったし原因は明らかですから。 iPodは単に爆発したのではない。壊れていたiPodを学生がバラバラに分解している時、間違って電池をショートさせてしまい爆発したってわけさ。消費者に危害を加えるような製品の欠陥ではない。ただ、暇をもてあました学生がちょっとした悪戯をしてたらこんなことになっちゃったわけだよ。 いくら壊れたiPodとはいえ、暇をもてあまして分解すると爆発物になっちゃうので気をつけないといけませんね。製品は十分に安全に設計されていると思いますよ。 [Newburyport Daily News via Cult of Mac] Brian Barett(原文/野間恒毅)  



 「ミシュランガイド2010」フランス版が1日に発表され、世界的著名シェフ、ジョエル・ロブション氏が初プロデュースしたモナコ・モンテカルロにある日本食レストラン「YOSHI」が1つ星を獲得したことがわかった。  「YOSHI」は2008年12月にモナコの「ホテルメトロポール・モンテカルロ」にオープンした人気日本食レストラン。恵比寿のシャトー・ロブションなど、ロブション氏の下で長年シェフを務めてきた日本人の山崎健央氏がチーフシェフを務めている。 ■YUCASEE(ゆかしメディア)で人気の記事 1.中卒で100億円の資産を築いた組立工(前編)2.中卒で100億円の資産を築いた組立工(後編)3.わが娘を「浅田真央」に育てる費用は?4.元国税調査官によるコワい税務調査の裏話5.伊ファッション界の大御所をビビらせた女帝の一言



『FUJI ROCK FESTIVAL’10』への出演が決定したオーストラリアのルーツ・ロック・バンド、ジョン・バトラー・トリオが、3月末のニューアルバム発売を前に3月3日(水)代官山UNITでショーケース・ライヴを開催するが、このライヴの模様をUSTREAMで生中継することを発表した。 すでに閲覧希望者の募集などは終了しているJBTのライヴだが、このところ数多くのアーティストがライヴの模様を中継しているUSTREAMで、20時から生放送する予定。 このライヴ中継を見るには、ジョン・バトラーの日本公式サイトのメーリング・リスト登録者にのみ送付されるパスワードが必要なのでご注意ください。 ジョン・バトラーのニューアルバム『エイプリル・アップライジング』は3月24日国内盤のCDが発売される。 【リリース情報】 2010年3月24日発売 ニュー・アルバム『エイプリル・アップライジング』 PCD-93324 ¥2,415(税込) 【ジョン・バトラー・トリオUSTREAM中継日時】 2010年3月3日(水) 20:00頃~21:00頃予定 #このUSTREAM中継閲覧にはパスワードが必要です 【関連リンク】 P-vine:ジョン・バトラー・トリオ 特設サイト 『USTREAM「P-VINEチャンネル」』 【関連記事】 ジョン・メイヤー5月に来日が決定! Gorillaz、先鋭的新作ビデオ「STYLO」を3月2日に公開 【2010年のフジロック第1弾発表】今年の目玉は?



夜空に瞬いている星を見ていると、頭の中でメロディが流れ出すような、そんな気がしませんか? 占星術研究家の鏡リュウジさんによれば...... 古代のギリシャ人達は、天球の星たちが音楽を奏でていると考えていた。15世紀の哲学者フィチーノは星の音楽を治療に応用したし、ケプラーはそれを楽譜に書き取ることさえしていた ......そうです。 そう考えると音楽と星というのは深い関係がありそうですね。 有名なホルストの組曲『惑星』もありますし、その中の木星のメロデイラインをアレンジしたとされる平川綾香さんの『ジュピター』が大ヒットしたのも、星と音楽がひとつになることで、美しい世界を創り上げることができるという証拠かもしれません。 今日はそんな星と音楽を一緒に楽しめるおすすめのCDをご紹介します。 それは前述の鏡リュウジさんプロデュースによる『プラネット・セラピー 天球の音楽』です。   太陽から冥王星までの7つの惑星の神々をイメージを音楽にしたもので、パッケージを開くと、星座早見盤がセットになっているというおしゃれなサプライズがあるのも、占星術師ならではのアイディア。 なお、こちらはアマゾンでも購入できるほか、曲はiTunes、レコチョクなどでもダウンロードできるそうです。 星に癒されたいという人はぜひ、チェックしてみてください。 [鏡リュウジのRyuz-cafe、iTunesプレビュー、レコチョク] (涼月くじら)



■前編はこちらから ──今回の『TAJOMARU』ですが、中野裕之監督の8年ぶりの長編映画というよりも、むしろ山本又一朗カラーが前面に出ている作品だと感じます。 又一朗 そうですか、そうかもしれませんね(笑)。今回、中野監督はきっぱり割り切って引き受けてくれたんです。もう、この『TAJOMARU』はクランクインに至るまで、七転八倒の連続でした。最初、この企画は豊田利晃監督を予定していたんです。豊田監督は主にインディペンデント系の作品を撮っているけど、彼の作風がボクは好きなんです。それで、ボクと豊田監督とで丁々発止で創れば、面白いメジャー作品ができるんじゃないかと思ったわけです。 ──豊田監督から『蘇りの血』(09)の前に大作の準備に取り組んでいたと聞いていましたが、『TAJOMARU』だったんですか......。 又一朗 最初の脚本は市川森一さんに書いてもらって、文芸作品として素晴らしい脚本ができあがったんです。それで自信を持って東宝に持っていきました。そのときに「素晴らしい脚本ですが、これでカンヌ映画祭で賞でも狙うつもりですか? これだとインテリ層にしか訴求しないですよ、きっと。なのに、こんな大作予算じゃあ回収できない。大体、主演の小栗さんのファンと芥川龍之介や黒澤明監督の『羅生門』(50)が好きな層とはかけ離れていますよ」と言われてね。確かに言われてみれば、そうだなと。もっと大衆好みの作品にしなければいけない。そこで豊田監督に脚本を手直ししてもらうことにしたんです。  豊田監督のやろうとしていた方向性は、市川森一さんの上質な脚本世界とはまた違った、アンダーグランド的な面白さのあるものだった。その作品をメジャーなエンタテイメント映画に修正していくことで、いろいろな問題が生じてくるわけです。豊田監督はギリギリまで頑張ってくれたんですが、あまりに時間がなかった。脚本の上がりを徹夜で待っていたある朝4時に「もうダメです。これ以上は......」とギブアップのメールが届いた。 ──すでに撮影のスケジュールが組まれた段階だったんですね? 又一朗 クランクインの1カ月前です。1カ月前に監督だけでなく、脚本も白紙状態になってしまった。これは通常どういうことかと言うと、「この映画はもう流れた」ということですよ。でも、外部の人間には誰にも言えませんでした。そこで一大決心をしたんです。クランクインを15日間後ろにズラして、2カ月間の撮影期間を1カ月半にしようと。そのためには予算も縮小しなくてはいけない。最大のセットだった足利義政の御所だけでも5,000~6,000万円かかるから、御所とその周辺のシーンをカットすれば1億2,000万円は予算を削れると。でも御所をカットするということは、足利義政役のショーケン(萩原健一)の出番もなくなるということ。  ショーケンとは古くからの付き合いで、彼はこの作品で俳優として再起することになっていた。「又さんに声を掛けてもらった!」とショーケンは大変な気合いの入れようだった。映画そのものが流れたならまだしも、「ショーケンの出番はなくなったから」なんて言えませんよ(苦笑)。そこで現場で予算を管理しているプロデューサーに、「今、この映画を中止にしたら、いくらの損失になるか?」と尋ねたんです。「今なら、6,000万円の損失で済みます」と。そこで「よし、1億円捨てる覚悟でやろう。あと4,000万円までは捨てていい」と。昨年はそこそこ稼いだので、何とかなるだろうと。そこで再スタートを切ることにしたんですが、そこでまた問題が......。 ──撮影を1カ月後に控えたメジャー作品が、監督も脚本も宙に浮いているという驚愕の事態。ここから山本又一朗プロデューサーの大綱渡りショーが始まるわけですね! 又一朗 監督に関しては、中野裕之監督の名前が浮かびました。『SFサムライ・フィクション』(98)などで見せた彼の映像センスはすごく好きだし、数多くのPV作品を撮ってきたことで現場経験を積んでいる。実は中野監督は別の作品を撮ることになっていたのですが、諸事情があったらしく流れてしまった。オレさ、もういい年齢だから、本当のことしか話さないよ(笑)。取り繕ったこと言っても、仕方ないからね。それで中野監督にスケジュールが空いてるなら、オレのをやってくれ。助けてくれよと頼んだんです。そこまで言うなら、と中野監督は非常に厳しい現場だということを分かった上で引き受けてくれたんです。  先ほど山本又一朗カラーが強いと言われましたが、確かにそうかもしれませんが、同時に現場能力に長けた中野監督じゃないと完成しなかった作品でもあるんです。マスターショット(一度に複数のカメラを回して、さまざまなアングルを撮り切る手法)でやろうと提案してくれたのは、中野監督です。フィルム代がかさむけど、フィルム代を惜しんでいる場合じゃなかった。1カ月半という短期間で、これだけ豪華な作品に撮り上げてくれた中野監督には大感謝ですよ。 (c)2009「TAJOMARU」製作委員会 ──監督を決めている間に、脚本作業も進めていたわけですね。 又一朗 市川森一さんの脚本に合わせて、すでにセットは発注していたので、完成済みのセットを生かした新しい脚本が必要だった。鎌倉にいる脚本家の一色伸幸さんに声を掛けて、4日間という短期間でプロットを書いてもらったんです。でも、そのプロットだとセットも新しく作らなくてはいけなかった。新しくセットを作る時間も予算もありませんよ。鎌倉まで押し掛けて、一色さんと話しました。一色さんは「今のプロットなら3週間で脚本にする。でも山本さんの言う内容なら、2カ月くれ」と。そりゃ、当然です。脚本家として、きちんとテーマを咀嚼した上で書き上げたいと考えるのは当たり前ですよ。  脚本完成が白紙に戻ってしまい、鎌倉から帰る途中でワインをしこたま飲んだんですが、そのときに車を運転してる秘書から「これはもう社長が自分で書くしかないですね」と言われた。「ふざけるな、オレにできるわけがない。製作の仕事は甘くないんだぞ」「でも脚本なしじゃあ、全ておしまいじゃあないですか」「ごもっとも」なんて、やりとりがあってね(苦笑)。東京に戻って、絶望的な夜をひと晩寝たら、ムラムラムラッとエネルギーが湧いてきた。 ──確かに『あずみ』(03)、『あずみ2 Death or Love』(05)では水島力也名義で脚本を執筆されています。 又一朗 2週間マンションに篭って、ぶっ続けでパソコンに向かったんですが、途中でストーリー上の矛盾にぶつかって、一度書いた脚本を全部棄てなくてはいけなくなった。一瞬、神経が拡散するというか、頭が収拾つかなくなり自失寸前。「あっ、まずい。オレ、発狂するな」と思いましたね。とりあえず、携帯電話と財布だけ手にして、外に飛び出した。ヒゲボーボーでサングラスをしたパジャマ姿の男が、目深に帽子をかぶって街を歩いて来たので、すれ違った人たちは「狂人が歩いている」と思ったんじゃないですか(苦笑)。しばらく歩いてから、四国にいる実兄に久しぶりに電話して1時間ぐらいしゃべっていたら、心が落ち着いてきてね。マンションに戻ってからシャワーを浴びて、河口湖までドライブして、翌日と翌々日は休みました。のんびりデパートで買い物などしてね。  そうしていたら、見せ場のひとつとなった森の中の真実......、大どんでん返しのお白州のシーンへつながる一連のアイデアを思い付いて、「神はまだオレを見捨ててないぞ」ってわけで物語の辻褄がうまく合ってきた。それから後はもう、「発狂してもいいから書き上げよう」と覚悟を決めて一気に脚本を書き進めたんです。撮影の早いシーンから、1ページごと現場に渡していくという調子でしたよ。 (c)2009「TAJOMARU」製作委員会 ──スタッフも時間がない状況の中で、よく対応できましたね。 又一朗 脚本が書き上がる前にね、スタッフの怒りが爆発しそうになったんです。監督はどうなったんだ? 脚本はあるのか? スケジュールを空けて待ってくれているスタッフたちも気が立っていた。そこで、メーンスタッフを集めて、昔、日活の専務だった江守清樹郎さんから「石原裕次郎と酒を飲んで話した内容が、3カ月後には映画になって公開されたもんだよ」と聞かされたことを話したんです。この話は"昔のスタッフはすごかった"ということではなく、"どんなに時間がなくても、間に合わせてみせるのがプロだ"ということですよ。「みなさんには迷惑かけますが、ひとつそのことを胸にお願いします」と頭を下げました。結局スタッフは誰ひとり辞めませんでしたよ、ハハハハハ。  クランクインまでのエピソードだけで充分に面白い『TAJOMARU』の舞台裏。実はこの後、『ベルサイユのばら』『アメリカン・バイオレンス』『Mishima』にまつわる武勇伝も拝聴したのだが、面白すぎるため、後日改めて追加取材した上で掲載することになった。せっかくなので、中締めとして映画プロデューサー・山本又一朗氏の考え方が凝縮されたコメントを紹介したい。 又一朗 映画はお金さえあれば、素人でも創れるというものではありません。プロデューサーという仕事の難しさは、すべて見込みでやらなくてはいけないということ。監督に話をすると、「配給は決まったの? 製作費は集まったの?」と尋ねられます。役者のところに行くと「監督は決まったの? 脚本はもうあるの?」と尋ねられます。配給会社に行くと「キャスティングは決まってるの? 制作費は大丈夫なの?」と。どれも未確定の状態で、みんなをウンと言わせなくてはいけない。「もう、決まっています」というとウソになるので、「もう、決まったようなもんです」と答えます。でも、これもウソですよ(笑)。そこから映画づくりは始まるんです。  原作、脚本、キャスト、スタッフ、配給会社、そして資金。これらの要素が限られたスケジュールの中でひとつに収まるようにしなくてはならない。どれか、ひとつが欠けても大変なことになる。それを成り立たせるにはプロデューサーに力も必要だし、技もなくちゃ務まらない。でもいちばん大切なことは、みんなから信頼されるということ、そしてその信頼を裏切らないということなんですよ。  ホラを吹きながら、同時にみんなの信頼に応えるという摩訶不思議なる職業、映画プロデューサー。山本又一朗さん、小栗旬監督作『シュアリー・サムデイ』公開の折には、さらなる伝説をお待ちしています。 (文=長野辰次) ●やまもと・またいちろう 1947年鹿児島県出身。さいとう・プロダクションなどで劇画原作の修行を積んだ後、映画・テレビ業界へ。映画プロデューサーとして、オールフランスロケによる実写『ベルサイユのばら』(79)、皇居前での撮影を敢行した『太陽を盗んだ男』(79)、近藤真彦と中森明菜が禁断の共演を果たしたスピリチュアルムービー『愛・旅立ち』(84)、カンヌ映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞しながら日本未公開となった『Mishima』(85)などの衝撃作、問題作を次々と製作。近年は水島力也名義で『あずみ』(03)、『あずみ2 Death or Love』(05)の脚本も手掛けている。芸能プロダクション「トライストーン・エンタテイメント」の代表取締役でもあり、所属俳優・小栗旬を『クローズZERO』(07)、『クローズZEROII』(09)でスター俳優へと育て上げた。最新プロデュース作は、小栗旬の初監督映画『シュアリー・サムデイ』(今夏公開予定)。 TAJOMARU 原作/芥川龍之介 監督/中野裕之 脚本/市川森一、水島力也 プロデューサー/山本又一朗 主題歌/B'z 出演/小栗旬、柴本幸、田中圭、やべきょうすけ、池内博之、本田博太郎、松方弘樹、近藤正臣、萩原健一 発売・販売元/アミューズソフトエンタテインメント 通常版¥3,990円(税込み) 発売中 【関連記事】 萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 【関連記事】 豊田監督、事件から4年ぶりの復帰は過激なスピリチュアル作『蘇りの血』 【関連記事】 「ボクには"ともだち"の心情が分かる。カルト社会は特別なことじゃないですよ」